年をとるにつれ、有毛細胞の毛が折れたり抜けたりしてきます。そのため、次第に音が聞き取りにくくなります。しかも通常、振動回数が多い高音から聞こえなくなります。これは高い音を感じる蝸牛の根元にある有毛細胞から壊れるためです。また、母音よりも、同じく振動回数が多い子音の聞こえが悪くなり、「高い」を「赤い」に聞き間違えるようなことが起こります。
加齢によって聞こえが悪くなることを加齢性難聴といいます。有毛細胞はいったん壊れてしまうと元に戻らないため、加齢性難聴の回復は難しいといわれています。聞こえが悪くなると、電話やドアチャイムの音に気づかないなど生活に支障が生じます。また、何度も聞き返さなくてはならなくなり、会話に参加しづらくなることもあります。このような生活の質(QOL)の低下がみられる場合は補聴器で聞こえの悪さを補うとよいでしょう。補聴器にはさまざまな種類があります。自分に合った補聴器を選ぶために、まずは耳鼻咽喉科を受診して難聴の原因や聴力の程度を診断してもらいましょう。