ピロリ菌の感染者のほとんどは50歳以上です。この世代は、上下水道が整備されていない時代に乳幼児期を過ごしたため、ピロリ菌に汚染された水を飲むなどして感染したと考えられています。当時に比べ衛生状態が格段によくなった現在では、若い世代の感染率は低くなっています。
体内に入ったピロリ菌は胃の粘膜にすみつきます。胃の中は胃液による強い酸性の環境にありますが、ピロリ菌は、酵素を産出し尿素を分解することでアルカリ性のアンモニアを産生し、胃酸を中和して自分の周囲にすみやすい環境をつくり出します。また、毒素を産出して胃粘膜を傷つけます。これらのアンモニアや毒素は胃炎を引き起こし、慢性化すると胃潰瘍になりやすくなったり、胃がんの発症リスクを高めたりします。