夏の体腸管理

こんな生活していませんか?

こうした夏特有の生活習慣や環境は夏の不調の原因に…

夏の不調は腸から解消!!

夏になると起こるだるさ、疲れやすさ、食欲不振などの不調。これらは自律神経の乱れからくるもので、中でも気を付けたいのが腸への影響です。腸は「第二の脳」と呼ばれることもあり、最近は腸内環境を整えることによる健康効果が注目されています。しかし、夏特有の環境や生活習慣は腸の働きを鈍らせ、その結果体調不良につながることも。この夏は、腸を健康に保って元気に過ごしましょう。

知っておきたい腸の働き

腸は大きく「小腸」と「大腸」の2つに分かれ、人の体を健康に保つのに重要な役割を果たしています。まずは腸の特徴と働きを見ていきましょう。

【小腸・大腸のプロフィール】

■小腸…お腹の中でジグザグに納まっている小腸の全長は約6~7m。絨毛(じゅうもう)と呼ばれる突起が多数あり、その総表面積はシングル用のテニスコート1面分に匹敵します。

■大腸…大腸の長さは約1.5m。そこには100種類、100兆個もの腸内細菌がすみ、お互いに抑制したり、けん制したりしながら共生しています。

●消化・吸収の主役

胃でおかゆ状に消化された食べ物は、腸で複数の消化酵素によってさらに微小な粒に分解され、腸壁から吸収されます。大半の栄養素と水分の吸収は小腸の担当。小腸の長さや総表面積の広さは、栄養素をとことん吸収しようとする人体のしくみです。大腸では残りの栄養素と水分を吸収します。

●食べ物のカスを体外へ排泄

小腸で栄養素を吸収されたあとの食べ物は大腸を通って、便として排泄されます。スムーズに排泄することで善玉菌が増殖し、有害物質の生成を抑え、肌をよい調子に保ったり、生活習慣病の予防にもつながったりします。

●免疫細胞が異物と戦う

腸は免疫にも深くかかわり、食べ物と一緒に入ってきた病原体やウィルスから体を守っています。腸内環境が良好で免疫システムが正常に働いていると、食中毒などでお腹をこわしにくくなるほか、風邪の予防や血圧・コレステロール値の上昇を抑える効果も。

【腸の健康とストレス】

腸はストレスの影響を受けやすい器官だといえます。その理由はストレスを感じると腸の働きをコントロールしている自律神経が乱れ、腸に正常な指示が出せなくなるから。腸を健康に保つには、ストレスを上手に解消する自分なりの方法を見つけておくことも大切です。

3ステップで 夏の腸元気!

夏の体を健康に保つために、腸を元気に維持する暮らしのコツを3つのステップでご紹介します。キーワードは、「温める」「整える」「刺激する」です。

ステップ1 温める

腸は冷えると働きが低下してしまい、食欲不振や全身の冷え、だるさを感じる原因になることがあります。 体の冷やし過ぎに注意して、夏こそ体を温めましょう。

●「夏の冷え」に要注意
冷房がガンガンに効いた室内では体が徐々に冷えてしまいます。冷房や扇風機の風に直接当たらない工夫や、上着や靴下で体を冷やし過ぎない工夫が大切です。外気との温度差が大きいと自律神経が乱れる原因になるので、冷房は温度差5度以内に設定を。

●食べ物も温かいものを意識して
暑いとつい冷たいものばかりを食べがちですが、そうした食事は腸の冷えの原因に。加熱したものや体を温める食材を選んで食べましょう。夏は腸も疲れやすくなるので、規則正しい食生活やよく噛むことも元気な腸を保つためには必要です。

●夏の正しい水分の摂り方
水分補給の基本は、冷たくないものをこまめに。無理をして熱いお茶を飲む必要はありません。常温程度のものを摂りましょう。おすすめは吸収のよいスポーツドリンク。糖分を摂り過ぎないように少し薄めて飲みましょう。

●入浴はぬるま湯で半身浴
冷えも猛暑も血流を悪化させ、腸の働きの低下や疲労感を招きます。対策として、38~39度のぬるめのお湯に20分程度入浴しましょう。ぬるいお湯は体内の熱を上げすぎずに体をリラックスさせ、血流をよくして冷え取りに役立ちます。

ステップ2 整える

夏の腸は疲れがたまりがちです。腸の修復や働きをサポートして元気に整えるコツは、食べるものにあります。夏の食事の参考にご覧ください。

●腸を整える栄養と成分を

【たんぱく質】傷ついた腸の粘膜の再生にはたんぱく質が必須。肉類や魚類、大豆製品や卵に豊富に含まれます。

【食物繊維】スムーズな便通や腸内の善玉菌をサポートするのが食物繊維。きのこや海藻類、野菜、果実を意識的に摂りましょう。

【ビタミンU】荒れた粘膜の新陳代謝を活発にします。キャベツなどの葉物野菜やほうれん草などの青菜類、青のりなどに豊富です。

【消化酵素】炭水化物の消化を助ける酵素が多いのは大根おろしやとろろ。キウイは肉や魚などたんぱく質の消化を助けます。
【腸内細菌】免疫力アップに貢献する腸内の善玉菌を増やす乳酸菌は発酵食品に豊富。ヨーグルトや乳酸菌飲料、チーズ類のほか、ぬか漬けやキムチなどの漬物は、昔から腸の健康食として知られています。

ステップ3 刺激する

●仰向けストレッチで腸をリラックス

【呼吸でゆったり準備運動】
腹式呼吸は腸の血行を促進し、働きをスムーズにします。まず仰向けになり、全身をリラックスさせます。その状態で、お腹の上下動を感じながら腹式呼吸を10回行います。

【腸の伸縮ストレッチ】 仰向けに寝て、両腕で両足を抱えこむように胸に引きつけ、そのまま腹式呼吸を1回行います。両足をゆっくり伸ばして床につけます。これを10回繰り返します。
●腸もみマッサージで腸がイキイキ

指を開いてウエストの両脇にあててやや強めにもみほぐし、上下に少しずつ手を移動させます。10回繰り返したら、今度はへそを中心に時計回りに円を描くように片手の手のひらでやさしくさすります。逆回りも行います。便秘気味の人はトイレの中で行うのもおすすめです。

●腸の“こり”をほぐす手足のツボ

①神門(しんもん)…手首関節の近くで、小指側の端にあるツボ。頑固な便秘にも効果的。 ②足の三里(さんり)…ひざの外側にあるくぼみから、指3本ほど下のツボ。消化器全体の働きがよくなる。

【熱中症にも要注意】

夏は熱中症にも注意が必要です。冷えを意識し過ぎて極端に冷房を避けるのではなく、適度に使用しましょう。今回紹介した水分の摂り方、入浴方法、食事などの対策は熱中症対策にも役立ちます。日差しの強い日や風の少ない日、熱気のこもった屋内などでは熱中症になりやすいので十分に注意して過ごしましょう。

<取材協力>
高山クリニック院長 医学博士 高山昇先生
<参考文献>
『胃腸力を上げる「食」の本』(オレンジページ)
『腸をきれいにする特効法101』(後藤利夫監修/主婦と生活社)
『病気にならない「冷えとり」健康法―温めれば内臓から元気になる』(進藤義晴著/海竜社)
『腸の免疫を上げると健康になる』(奥村康著/アスコム)
『きょうの健康』2010年6月号、2012年8月号(NHK出版)

<イラストレーション>
加納徳博

Scroll Up