認知症の定義に当てはまる状態をつくる病気は100以上あるといわれています。中でも患者の数が最も多いのがアルツハイマー病で、軽度のときから、数時間あるいは数日前にあったことを思い出せないなどの症状がみられます。次に多いのが脳梗塞や脳出血などで引き起こされる脳血管性認知症で、うつ症状がよく現れます。最近注目されているのがレビー小体型認知症で、存在しないものが見える幻視が特徴的な症状です。
これらの認知症を根本的に治す方法はまだ見つかっていません。その一方で、慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症などのように、治療により元の状態に戻せる可能性のある認知症もあります。大切なことは早期に専門の医療機関を受診し、認知症の原因となっている病気を見つけ、その病気に応じた治療やケアを受けることです。「物の置き忘れが増え、よく探し回る」「同じことを何回も話す・尋ねる」「何もする気が起きない」「怒りっぽい」などの症状がみられるようなときは、もの忘れ外来などを受診しましょう。