丈夫な骨づくりでいつまでも健やかに

高齢者が寝たきりになる大きな原因は転倒による骨折です。高齢者が骨折を起こしやすい背景には加齢に伴う骨量の減少があります。しかし、骨量の減少は食事の工夫や運動で抑えることができます。いつまでも健やかな生活を送るために丈夫な骨づくりに努めましょう。

骨粗しょう症が背骨の圧迫骨折を招く

かかととお尻、背中を壁につけてまっすぐ立ち、この状態で後頭部を壁につけてみてください。後頭部がつけられない、またはつけようとすると背中やお尻が壁から離れてしまう場合は、骨粗しょう症によって背骨が圧迫骨折しているかもしれません。
骨折というと痛みを伴う印象がありますが、実は圧迫骨折は日常生活の中で徐々に背骨がつぶれて骨折に至るため、痛みなどの症状が現れないことがほとんどです。しかし、1カ所でも圧迫骨折を起こすと、その上下の背骨に大きな負荷がかかり、連鎖的に骨折が生じ、場合によっては激しい腰痛や背部痛を招くことがあります。
一方、転倒による骨折で最も多い箇所は太ももの付け根の骨です。ここが折れると手術になる確率が高く、長期間の安静が必要となり、寝たきりのリスクが高まります。圧迫骨折、転倒骨折のいずれの場合も、生活の質(QOL)の低下を招きます。

垂直方向に力がかかる運動が骨を強くする

圧迫骨折や転倒骨折を避けるには日ごろから骨を丈夫にすることが大切です。そのためにぜひ取り組みたいのが運動です。
骨を構成する細胞には古い骨を破壊する破骨細胞と新しい骨をつくる骨芽細胞、そして骨細胞があります。骨細胞は衝撃を感知するセンサーのような役割をしていて、衝撃を感知すると骨芽細胞に骨をつくるように指令を発します。その結果、骨密度が高まり、骨が強くなります。
これまでの研究で、骨細胞が感知しやすいのは立位での垂直方向の衝撃であることがわかっています。例えば、地面を強く踏みしめる足踏みや縄跳び、ジョギングなどの運動は垂直方向に強い力がかかるので骨づくりに有効です。ウォーキングの場合は、のんびり歩くのではなく、背筋を伸ばして歩幅を広めにとり、少し速めの速度で歩くといいでしょう。

ビタミンDやK、たんぱく質もしっかりと

もう一つ、骨づくりに欠かせないのが食事です。骨の材料であるカルシウムはもちろん、腸でのカルシウムの吸収を助けるビタミンDも一緒に摂るようにしてください。ビタミンDはサケやカツオ、サバなどの魚や、干ししいたけやきくらげなど乾燥したきのこ類に豊富に含まれます。また、ビタミンDは紫外線を浴びることで、皮膚で合成されます。
そのほか、骨にカルシウムが沈着するのを助けるビタミンKや骨質に関係するたんぱく質もしっかり摂りましょう。ビタミンKは納豆やワカメ、緑黄色野菜などに、たんぱく質は肉や魚、卵、大豆製品などに多く含まれます。骨の健康についてわからないことがあるときは薬剤師に気軽におたずねください。

イラストレーション:堺直子

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